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蘇った伝説の男 「ビヨンドtheシー」その1

蘇った伝説の男 「ビヨンドtheシー」その1_a0002405_1431293.jpg 先月、産後4年ぶりの映画館への復帰、そして久々に一人で映画館へ赴き念願の「ビヨンドtheシー」を観に行きました。作品を観終わった後の私は、泣いているのやら花粉症の症状なのやら・・・。
 
 幼い頃のリウマチ熱で心臓を痛めた貧しいブロンクス生まれの7歳の少年ウォルデン(ボビーの本名)は、15歳までしか生きられないと宣告される。そんな彼に母親は音楽の世界を教え、少年は暖かい家族の愛情に包まれ成長してゆく。伝説の”ボビー・ダーリン”誕生からその人生の幕が降りる37年間の一生を描く。
 
 昨年のブログでも紹介したボビー・ダーリン(1936~73)。彼の”マック・ザ・ナイフ”の映像の衝撃の出会いからこの作品公開の日を、どれほど待ち焦がれていたことでしょう。ご存知ケヴィン・スペイシー(1959~)がボビーを熱演したのですが、もう脱帽!というくらいケヴィンの努力に感激しましたね!作品を観た方はご存知でしょうが、作品に仕上がるまでの道のりは実に10数年の年月を費やしたというから驚きです。彼は、ボビーの音楽を幼い頃よりこよなく愛し、その愛情を大切にそしてボビーのカリスマ的歌声を壊さぬようにと、脚本を上げるより前に音楽習得に2年以上かけたそうですね。彼が最初に登場し歌いだしたとたん、「あーなんてボビーにそっくり、あのお辞儀をする背中を丸めた姿なんて・・・すごいすごい!」と映画館に観客がまばらだった事をいいことに私はもうノリノリでケヴィンの歌声に参っていました。
 
蘇った伝説の男 「ビヨンドtheシー」その1_a0002405_2173264.jpg そして、ボビーと「九月になれば」(1960)で共演し、彼の”男の押し”で恋におち16歳で結婚したサンドラ・ディー(1944~2005)との結婚生活も描かれています。作品の製作にはサンドラも協力したそうで、出来上がった作品を観てさぞ喜んだことでしょう。しかし、公開後の今年2月20日63歳の若さで天国に召されました。晩年は肝臓を病み透析もしていたとのこと。幼くして両親が離婚し、母親の夢でショウビジネスの世界に入りそしてボビーとの出会い。67年に二人は離婚しても生涯交友があったといいます。彼女にとってボビーは恋人であり元夫ではあったけれども、きっとボビーの男らしい姿に父親としての安心感をも感じていたのでは・・・と思わずにはいられませんでしたね。ちなみに、作品の中で彼女を演じるのは今もっとも輝いている女優ケイト・ボスワース(1983~)です。
 
 15年間のボビーの活動期間を45歳のケヴィンが演じましたが、もともと”とっつぁん坊や”のボビーの顔ですもの、それほど違和感は感じませんでしたね。ちょっぴりボビーとサンドラよりもケヴィンとケイトの方が長身であるようにも見えましたが・・・。まあ、悪っぽくも見えるやんちゃなボビーの感じはケヴィンにはあまり感じませんでしたが、男としての品の良い大人の色気が伝わる”ケヴィンのボビー”でしたね。
「他の仕事をしていても、心はいつもこの映画にあった」・・・ケヴィンのこの作品に対する愛情こもったこの言葉で、俳優ケヴィン・スペイシーの魅力を存分に感じ取れた私でした!
 次回は”蘇った男ボビー・ダーリン”を語りましょうね! つづく。

# by suama | 2005-04-02 02:21 | 最新映画

古き良き女優にさようなら テレサ・ライト

古き良き女優にさようなら テレサ・ライト_a0002405_250296.jpg テレサ・ライトが86歳の人生に幕をおろした事を十瑠さんのブログで知りました。私がブログを始めて最初に紹介した女優さんでもありました。
 
 彼女との出逢いは、深夜放送で観たヒッチコック監督作品の「疑惑の影」(1943)、私がブログで初めて取り上げた作品で、今でも大好きな作品のひとつ。160センチの小柄で華奢な姿に黒髪・・・そんな彼女に日本人と共通する何かを見たのでしょうか、それ以来彼女の魅力に惹かれるばかりでしたね。終戦直後の日本でも、彼女の知性美はとても人気があったそうですよ。
 
 本名をミュリエル・テレサ・ライト。ハイスクール在学中に女優を志す。劇場関係の道具方で修行し、1938年ブロードウェイで「我等の町」のマーサ・スコットの代役で主役デビューを飾る。そして1941年「偽りの花園」でスクリーンデビュー。翌42年「ミニヴァー夫人」でアカデミー助演女優賞獲得。近年では1997年「レインメーカー」に出演するも、先日3月6日コネティカット州の病院で心疾患のため死去。(1918~2005)
 
古き良き女優にさようなら テレサ・ライト_a0002405_2283381.jpg スクリーンでの彼女の姿を観た最後の作品は、TV放送していた「ローズランド」(1977)だったかしら・・・優雅にダンスホールで踊っているシーンを思い出すわ。その後はTV出演で何作か観ましたね。先日の訃報の記事に、”独立心が旺盛な女優として有名で、プロデューサーには不評を買うこともあったという。48年には態度が’非協力的’であることを理由にS・ゴールドウィンにクビを言い渡されたというエピソードをもつ。”とありましたが、スクリーンから受けた私のイメージとは異なる内容に、改めて彼女の演技に対する姿勢が伺われた様に感じましたね。
 
 以前紹介した「打撃王」での、可愛らしく勝気な部分もあるけれど、とても献身的な鉄人ルー・ゲーリッグの妻エレナーを演じた彼女の姿をいつまでも忘れないことでしょう。まだまだ日本では観る事の出来ない彼女の出演作は沢山あるけれど、エレナーの勝気な面を地で行くような”女優テレサ・ライト”の顔を、これからも観られることを楽しみに待ちたいですね。
 ありがとうテレサ、そしてさようなら。

 ☆そういえば、昨年2月のブログでも書いた彼女の出演した「ヒッチコック劇場」でのタイトル、未だにわからないわ~。テレサの殺人者役・・・善人に見えるけれど、実は夫の複数いる妻達を毒殺していくというこのお話。鮮明に覚えているけれど、もう一度観てみたいわ!ちなみに彼女の夫役は「打撃王」でウォルター・ブレナンといつも言い合いをしているスポーツ記者を演じた彼(名前探してみましょ!)でした。  

# by suama | 2005-03-25 03:08 | 映画俳優

サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その2

 サイレント映画だったのにその迫力に大満足だった「つばさ」、登場する若者のルックスがちょっと今風だったのにも驚いてしまったの!
  
サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その2_a0002405_1023716.jpg 空軍の訓練生になりたての頃はそりの合わなかったジャックとデヴィッドにも、真の友情が芽生えましたね。ジャックを演じたチャールズ・”バディ”ロジャース(1904~99)はこの作品で有名になり、トーキーになってからも明るい快活な青年役を多く演じ人気を得ていたそうです。でも彼より11歳年上で、生前淀川長冶さんがよくお話していたサイレントの大スターメアリー・ピックフォード(1893~1979)と結婚していたとは・・・驚きでした!!それにしても、彼のあの人懐っこそうな笑顔は、今の時代にも充分通用しそうですね。 (☆中央はロジャース、右はアーレン。)

 ジャックと無二の親友となり、ラストシーンでは私に切なく涙させたデヴィッド役のリチャード・アーレン(1898~1979)。ポートレイトで知っていた彼の顔も、実際に動いている姿を観た時にはなんて色気のある・・・そう、ブランドの男性トップモデルを勤められそうなそんな端正な顔立ちと立派な体格の持ち主でしたね!彼もこの作品で人気を得、250本もの映画に出演されたそうです。

サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その2_a0002405_10232827.jpg ジャックに想いを寄せ戦地に赴き、そのキャラがキュートで思わずホッとする存在だったメリー役のクララ・ボウ(1905~65)。彼女も多くのポートレイトで知っていたけれど、動く彼女があんなに可愛い笑顔の持ち主だったなんて・・・後に映画界に登場するマリリン・モンローの様な存在に似ているようにも感じましたね!彼女は「あれ」(1927)(原題を「IT」)の作品で人気に火がつき”イット・ガール”という意味深なニックネームがついたそうですが、1933年には引退しあまり長い俳優人生ではなかったようです。当時はあの短いヘアースタイルも注目されていた彼女も、実生活ではかなりのファッションオンチだった様ですが、私の大好きなデザイナーイーディス・ヘッドの手にかかれば”編み上げロングブーツに軍服姿”・・・とキュートな出来上がり!になりました。
 
 そして、ジャックとデヴィッドが新米空軍生になり初めての宿舎テントで同室になったカデット・ホワイト役にあのゲイリー・クーパー(1901~61)が登場。声の聞こえないゲイリー・クーパーなんて初めてでしたし、登場時間のなんと少なかったことか・・・。でも強烈な印象を残して空に散って行きました。その後の彼のサイレント時代を凌ぐ人気ぶりは皆さんもご存知ですよね!
 
 この作品との出逢いで、サイレント映画に大いに興味を抱いた私。これからも心がワクワクする様な素敵なサイレント作品に出逢えると嬉しいわ! おしまい。

# by suama | 2005-03-13 11:33 | クラシックムービー

サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その1

 ”古き良き”が大好きな私でも、サイレント作品(無声映画)となるとまだまだ初心者だったので、先日BSで放送していた「つばさ」Wings(1927米)を観た時には久しぶりに”見ごたえのある作品だったなぁ”と大いに楽しんだのでした。
 
サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その1_a0002405_22312843.jpg  第一回アカデミー作品賞、技術効果賞に輝いた記念的作品。第一次世界大戦中、ヨーロッパ戦線で戦う米空軍青年達、ジャック(チャールズ・”バディ”・ロジャース)、デヴィッド(リチャード・アーレン)、そしてメリー(クララ・ボウ)の青春航空映画。何も予備知識なく観始めたのでその楽しかった事といったら!!実際は娘と遊んでいて冒頭の20分を見逃してしまってのスタートだったのですが、何とこの時代で140分もの超大作、その後の2時間はもうハラハラしながら観てしまいましたね。
 
 監督のウィリアム・ウェルマンは同大戦で有名な空軍隊でパイロットとして従軍していただけあって、その経験を生かした雲の上の戦闘シーンは本当に迫力があったわ。聴こえてくるのは、淡々とした音楽に弁士の女性の声、飛行機の音も何もないまさしく”無声”の作品なのにそれがいっそう私を作品にのめり込ませていったみたい。飛行機の事など何もわからない私も、宮崎監督の「紅の豚」に登場する”複葉機”は知っていたので、それが戦闘機として雲の上で空中戦を繰り広げるシーンでは自分も空に舞い上がってしまったかの様に見入ってしまったの。操縦席からは空が丸見えでパイロットはむき出しの状態なんてもう怖くて怖くて・・・。現代の様に特撮などに頼っての撮影ではないと思うので(おそらく)、戦闘シーンがどれもみな実際の戦争フィルム映像を観ている様な錯覚に陥るほど見ごたえのあるものだったわ。
 
サイレントで泣けちゃった 「つばさ」その1_a0002405_22315735.jpg 日本の神風特攻隊で命を落とした少年達も、こんな情景を見ていたのかしら・・・と切なさも感じてしまうほどリアルに映し出された映像は、80年近く前の作品に思えないほど迫力のあるものでしたね。そして精一杯戦う青年達の姿も好感の持てるものでした。
 
 次回は現代にも通用しそうな”イケメン”青年たちと、チャーミングな女の子を紹介したいと思います。つづく。

# by suama | 2005-03-04 01:40 | クラシックムービー

運命のいたずら・・・「旅愁」その2

 この頃韓流ブームでドラマの地を訪れる観光の方がいらっしゃるとか。私も6年前の新婚旅行でイタリアの地を訪れ、50年前の映画の舞台と変わらぬ佇まいにその歴史の深さを感じたのでした。
 
 一週間ほどの予定でフィレンツェからローマへののんびり旅行を計画、特別買物をしたいわけでもないので事前に見ていたフィレンツェやローマの写真から行ってみたい所を探していると、フィレンツェの街が一望できる処を発見。見覚えがあると思ったら「旅愁」の中でデイヴィッドとマニーナが住んでいた邸宅の庭の風景と同じ!「ローマの休日」のロケ地はわかりやすかったけれど、「旅愁」でのロケ地の案内などどの雑誌にも載っていなかったので(殆どは有名な場所だったけれど!)ワクワクしてフィレンツェ中歩き回ったの!
 
運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22362196.jpg運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22363149.jpg まず、シニョーリア広場にある「ORCAGNA」というレストラン。主人公2人が連れ立って何度か食事に訪れた場所。ここで2人はワインを飲んだりボロネーゼを食べたり・・・。私達は観光客なので、シニョーリア広場を見渡せるお庭で大きな”ピッツァ、マルゲリータ”をお約束通りほおばる。でも内心2人が食事した地下の場所を探したくて、私はレストルームに行くついでに探すもそのような場所は見つからず、「きっとピアノを弾いたあの場所はハリウッドのセットだったのね・・・」と残念だけれど思うようにしたの。
 
運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22374684.jpg運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22382134.jpg そして、出発前に見たフィレンツェを一望できる”あの場所”を探しに風景を頼りに歩く、歩く!街の中心から随分歩いて山道を登ると、私を感動させる場所に偶然遭遇。その場所は、2人が住んでいた邸宅の裏玄関(おそらく正面ではないと思うの)のあの素敵な門。映画の中では2人はその門を抜け、フィレンツェが見渡せる道をまっすぐ歩き、観光をしなが運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22394731.jpg運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_2240513.jpgら「ORCAGNA」へ行くの。側にある木々の大きささえ当時と違うものの、何も変わらぬその場所に私はいつまでも佇んでいたわ。そこから程なく歩いて行くと有名な”ミケランジェロ広場”があり、今でもあの時胸が熱くなった事を深く鮮明に想い出すの。
 
運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22412274.jpg運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22413918.jpg アルノ川河畔の街を後にローマの地へ。ここではデイヴィッドとマニーナが偶然すれ違い、同じ乗り合いバスで飛行場に向かう、映画の最初のシーンの駅へ行ったの。私の立っている場所が正にデイヴィッドが歩いた階段。ここで運命のいたずら・・・「旅愁」その2_a0002405_22463644.jpg彼は変なおじさんに”ミロのヴィーナス”の右手を売りつけられていたのね。側にある植え込みも天井から下がるガラスの電灯も何ひとつ変わらず私を待っていてくれたのが本当に嬉しかったわ。
 
 映画の中で、地中海を見下ろす丘の上の酒場の女主人は、「急ぐなら旅をしなければいいのに・・・」と言っていたけれど、私は短い旅でもいい、何度でも訪れたいという気持ちになるそんな土地に出逢えた事が何よりも嬉しかったわ。
「ミケランジェロ作ダヴィデ像、英語で呼ぶとデイヴィッド・・・。」またいつの日かデイヴィッドに会いに行く日を想いながら、私はイタリアの地に想いを馳せていく事でしょう。おしまい。

# by suama | 2005-03-03 02:34 | クラシックムービー