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鳥さんたちは大忙し 「鳥」 その1

鳥さんたちは大忙し 「鳥」 その1_a0002405_043695.jpg クラシック作品だから映画の筋書きは知られていても、ヒッチコックの「鳥」(1963)はやはり観てのお楽しみというのが一番ですよね!
  
 私の故郷鎌倉、家の前には海が広がりここ10年ほどカモメたちが海沿いの道路でも見られるようになり、逗子マリーナではお弁当を食べていると、鳩の大群に取り囲まれ、トンビが急降下して見事人間の食べているものをキャッチ!なんて日常のこと。先日も江ノ島の海岸で同じような場面に遭遇し、まさに「鳥」の映画を彷彿させる出来事でしたね。この作品では”何故鳥が人間を襲うか・・・”など理由も結論も出ていないけれど、私が目にした光景は明らかに鳥と人間の関係を象徴している様に思えましたね。そして、このテーマは永遠に続くような・・・そんな予感もしました。

 「レベッカ」(1939)の原作者ダフネ・デュ・モーリアの作品。はく製・本物・機械仕掛けの鳥を使い、最新の合成やトリックを駆使して作品が出来ています。鳥が苦手なヒッチは、屍を連想させる鳥の丸焼きにナイフを入れながら殺人の話をしたり(「断崖」1941)、ホテルの朝食の目玉焼きにタバコをジュッと押し付けたり(「泥棒成金」1954)と、過去の作品ではこんな鳥の描き方もしていましたが、この作品は”鳥”さんがうじゃうじゃしている鳥、鳥、鳥・・・主役が”鳥”の世界でした!
 
鳥さんたちは大忙し 「鳥」 その1_a0002405_043325.jpg コンピューターを使った映画が格段に進歩した現代からすると、この作品で試みられた最新技術は取ってつけた様な画面の仕上がりにもみえますが、作品から受ける観客のショックは相当なもの。全編音楽はなく、鳥の鳴く声だけであれだけ物語を盛り上げる・・・今では普通に使われているけれど当時発明されたばかりの”電子楽器”なるものを使い、鳥の声を作っていたそうですね。(何故全編音楽なしなのに、スタッフにバーナード・ハーマン(1911~75)の名が出ていたのか今やっとわかりました。彼はこの作品でヒッチと共に楽しくこの楽器を使い、音響監修を務めたとか。)そして、鳥たちがあれだけ登場し、人間たちを恐怖におとしいれる様は、今観ていても色あせていませんね。

 多くを語らなくても、この映画を観て受けた衝撃で作品の素晴らしさと恐ろしさがわかることでしょう。次回は、映画の中だけでなく撮影中も”鳥”さんたちに悩まされたキャストたちを紹介したいと思います。

 今日も我が家の窓からは森へ帰るカラスの群れが広い空に見えるのでした・・・。 つづく。

by suama | 2005-05-02 00:52 | クラシックムービー