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実話は怖いです 「間違えられた男」

a0002405_152225.jpg 10年ぶりだったでしょうか・・・A・ヒッチコック監督作品「間違えられた男」(1956)を観ました。ヒッチ作品では唯一実話を映画化した作品で、彼らしくないという声も聞かれる程の異色作ではありますが、私は結構この作品好きなのです。

 クリストファー・エマニュエル・バレストレロ(愛称マニー)はマンハッタンのストーク・クラブでベースを弾いている。1953年1月14日明け方帰宅すると妻のローズは歯の痛みで眠れないでいた。借金に次ぐ借金の生活の家庭であるが妻の痛みを取ってあげたいと翌日マニーは、妻の保険で貸付が可能か保険会社支店窓口に問い合わせに行く。しかし事務員達は彼の顔を見るなり、先日拳銃強盗に押し入った犯人と思い警察へ通報、マニーの生活は家族をも巻き込んで一変して行くのであった。

 実話ほど怖いものはない・・・と感じたのがこの作品でした。物語は淡々と進み、張り詰める緊張の中、ひとつの笑顔もこぼれない。落ちもなく、ヒッチ探しを楽しみにすることもない。(彼は冒頭この作品の解説をすることで、緊張感を高めています。)

 脚本を担当しているマックスウェル・アンダーソンが「LIFE」誌に発表した「クリストファー・エマニュエル・バレストレロの実話」を基に、事件に忠実に映画化されています。観ている内に自分がマニーや家族の気持ちになって行き、裁判の進み方に疑問ややるせなささえ感じてしまいました。実際に無実の罪で自分が裁かれてしまったら・・・出口の見えないこの気持ちにピリオドを打ってしまいたくなり、つい「私がやりました・・・」と言ってしまうのではないかという気持ちになるのではと恐ろしくもなりましたね。

a0002405_1523187.jpg 主人公マニーを演じたヘンリー・フォンダ(1905~82)は当時51歳(実際のマニーは38歳)、妻ローズを演じたヴェラ・マイルズ(1929~)は27歳。ちょっぴり二人の歳の差を感じずにはいられませんでしたが、マニーの実年齢よりもフォンダの方が上であることがかえって痛々しい程の深みになった名優の演技でしたね。彼らの事件の相談を受けた弁護士に「ナバロンの要塞」(61)のアンソニー・クエイル(1913~)、彼の控えめな演技も見逃せないものでした。

 それにしても、マニーをはっきりと犯人と断定してしまった保険会社の女性達。物語のラストに待ち受けるどんでん返しの面通しでの態度を観ていると、人が人を裁くという恐ろしさを強く感じてしまいましたね。そして、実在のマニーと真犯人の顔は本当に似ていたのかしら?という興味もとても出てきました。映画のキャスティングは「う~ん、ちょっとオシイかしら?・・・」といった感じでしたので、いっそう本物の二人の顔を見比べてみたくなりましたね。

 ヴェラ演じる美しい妻が、日に日に変わってしまう姿もとても怖いものでした(ヒッチとの関係の裏話もいろいろありましたね!)。もし私が同じ体験をしてしまったら・・・(そんなことは嫌だけれど)”絶対に諦めないで旦那様を支えるのよ~”と叫ぶ!?骨太のsuamaでありました。
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by suama | 2005-07-27 01:57 | クラシックムービー